真紅の空
大きなお屋敷に着いた。
門は閉まっているけれど、塀の向こうから明かりが漏れている。
則暁くんは私を馬から降ろしてくれて、
ドンドン、と軽く門を叩いた。
しばらくして門が少し開き、
中から人が一人出てきた。
則暁くんの顔を見るとその人は
頭を下げて門を開けた。
すんなりと中に入ることが出来たので中に入ると、
ひょろりとしたおじさんが出てきた。
「これは、これは。則暁殿。
こんな夜更けにどうされましたかな?」
「はい。実は雪姫様にお伝えしたいことがございまして参上いたしました。
お会いすることは出来るでしょうか」
「ふむ。いいでしょう。こちらへどうぞ」
ひょろりとしたおじさんはあたしたちを中に案内してくれた。
あれは誰?と聞くと津田家の主、兵十郎さんだと教えてくれた。
兵十郎さんはあたしたちを部屋へ案内した後、
雪姫を呼びに行くと言って部屋を出て行った。
しんと静まり返る。
則暁くんをそっと盗み見ると、その表情は緊張しているのか、
どこか堅く感じられた。
しばらくして、綺麗な足音が聞こえた。
すると則暁くんがすっと姿勢をのばす。
慌ててあたしも同じようにすると、
襖がすっと音もなく開いた。
「則暁さん。どうしました?」
よく通る綺麗な声がしたかと思うと、
目の前に雪姫が立っていた。
雪姫は驚いたような顔をして則暁くんを見つめる。
則暁くんは一度目を閉じるとすぅっと息をして、目を開けた。
「雪姫様。私、則暁は明夜、暁斉様の身代わりとなって死にます」
ポツリと落とされた言葉は宙を舞う。
雪姫は眉一つ動かすことなく、則暁くんを見つめた。
「そうですか。博仁様は、生き延びるのですね」
「はい。私が命を賭してお守りいたします」
「見事。ご苦労でした」
「なっ……」
軽薄な雪姫の言葉に、あたしは憤りを感じた。
則暁くんがどんな思いで……。
それをこの人は……。