毒舌彼氏と最悪彼女


翔との思い出を乗り越え、忘れるために、彼との思い出が詰まったサイトを消し、新しくサイトを立ち上げた。
しかし、再び炎上。なんでこうも炎上するのかが分からなくてスレンダーな友人、ティーンエイジャーの一人、三神優希に相談すると、突然唯の話をし始めた。

「この間、パッと聞いた話なんだけど、涙ちゃんのサイトが炎上するの、唯の友達がやったことらしいよ」

「は?何それ、それどーゆーこと」

「なんか、唯が言ってたんだけどね、唯もあいつのサイトに死ねって書いてきたんだよね~って言われてさ。しかも今までのその炎上、一人の犯行だってわかってたんでしょ?」

「まぁ、携帯の端末の識別情報でてくるからねぇ。」

「それ、唯の友達なんだけどさ…」

彼女の名前は大山玲だという。唯の幼馴染らしく、唯の都合のいいように私の話をしたら怒って攻撃態勢に入ったらしい。…本当にストーカーのようにまとわり付く女だ。
サイトを変えても何度も追いかけてくる。
しかも彼氏にしか興味ないらしく、その独占欲はハンパないらしい。
…そんな知らん女の子の情報なんて一切興味ないけど。

まぁでも、自分にも欠点はあったと思う。考えてみれば言っちゃいけないこととかあったと思うけど…
だがしかし、1やれば10返してくる子。顔も見えない相手にそういったことをやられるのは慣れっこだったけれど、毎度同じ子に大量に中傷かかれて耐えられる子なんていない。

雄二は最近当てにならない。というより、信じられない。
会うたびにラブホテルに連れて行かれ、そう、やることは一つしかない。
中距離恋愛をしていた私たちは、遠距離も同然の日数しか会っていなかった。
それは、彼が大学のゼミが忙しく、会うまでは電話かメールを交わすぐらいだった。
しかし、電話でもずっとパソコンをいじっていて話にならないし、会っては犯される日々だったから正直別れたかった。
友達も助けてくれないこともわかってる。
みんな唯の味方するようなやつしかいないし、私を慰めてくれる友達は一切いない。
一人で戦うしかないんだ…


―――その事件から一年とちょっと経った頃の、高校三年生最後冬。
私は誰も居ない教室で一人、空を見上げて一言つぶやいた。

「普通がよかったな…」

あれから私は雄二に別れを切り出した。四ヶ月一緒に居たけどいいことは何一つとしてなかった。
正直、もうコリゴリだった。
あぁ、ただヤりたかっただけだったんだ。そう思った。
彼のブログには、捨てないで欲しい、なんて書いてあったけど、矛盾していた。

唯と何があったのか、それだけを知りたくって、真相を知るために雄二に聞いたけど、なんで今更そんなこと聞いてくるの?ってキレられるし、おまけに姉さんと姉さんの彼氏と私らの四人で旅行に行ってもヤリまくるし、服のすそつかんで待って。なんてやるともう手が付けられないくらい怒るし…それから会ってもラブホテルつれてかれるし…もう…。

雄二と別れてからは唯や玲からのしつこいいじめから解放され、最後の高校生活一年を過ごした。

翔ちゃんとも連絡を取らず、二年が立った。
彼が今、生きているかどうかは、私には想像もつかない。

この高校生活、波乱万丈すぎて疲れた。
本当はもっと普通の生活を送りたかった。
少女マンガは読んだことないけど、少女マンガにありそうな恋愛をしたかったし、普通にガールズトークで盛り上がって、一緒に遊んで、楽しい思い出しかないような、そんな生活送りたかったし、普通の女の友達とか作りたかった。友達100人なんて夢は到底叶わない。

…普通に生活して普通の人生を送りたかった、ただそれだけだったのに…

就職活動も終わり、あとは卒業を迎えるだけだ。
今振り返るとろくなことなかった。

そしてまた、私は呟く。

「普通がよかった。」

これが最悪な女と呼ばれた私の半生である。



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