毒舌彼氏と最悪彼女
その壱

毒舌少年との出会い




ルルッターは高校三年生の10月、携帯を新しくスマートフォンに変えてから始めた。
150文字の呟きをみんなで共有するサービスらしい。

私は某有名アニメが好きで、クラスタと呼ばれるいわゆるファンの集団の中に居た。
”彩翔(あやと)”というユーザー名でそこに存在していた。
暇なときにちゃちゃっと呟けば、みんながしゃべりかけてくれる。

私にとって唯一の憩いの場だった。



―――高校を卒業して、すぐに某百貨店に就職した私。正社員になるまでは、見習いとして四月入社のところ早めの三月中旬に入社した。
それは、お店の事を学ぶのではなく、百貨店の知識をある程度覚えなければいけなかったからだ。
規則とか言葉遣い、身だしなみやお客様に対する対応、カードの使い方や配達の手続きなど気をつけるのは大変だった。

一日の疲れを癒すために、いつもルルッターに浮上し、規制がかかるまで呟く毎日。

そんなある日、ルルッターと連携の生放送のアプリを見つける。
最初はモゴモゴしながら一人で喋っていたけど、次第に楽しくなりその日あった話題や歌を歌ってみたりした。

すると、五回目の放送である少年が私の生放送にコメントを残した。

”初めまして♪○○(私と彼の共通のフォロワーさん)のコメントから飛んできました(๑¯ω¯๑)”

一瞬、胸が締め付けられるように痛くなった。
…それは苦しいんじゃなく、ドキドキしてるあの胸の痛み…。

話しかけてきた人物のアカウント名は”想太”。
アイコンはすごく女の子っぽい…誰かからもらったイラストだろうか、すごくかわいい。
彼はクラスタの中で一番有名な人で、アルファルルッタラーでもあった。

…実をいうと最近、彼の事が気になって気になって仕方が無かった。
彼とはそれまで相互関係ではなく、私の片思いであった。

…まさか、私の生放送に来てくれるとは思ってもみなかった。

「あっ…想太さん!ですね!初めまして~!!」

そう生放送で話しかける私。

”○○のコメント見てたらなんか楽しそうだったから来ちゃいました( ー̀ωー́ )どうぞよろしくお願いします~!”

さすが、想太さん。礼儀正しい挨拶の仕方だ…!
そう思いながら彼がきたことによって変に緊張してしまい、その回の放送は計20回以上噛んで終わった。
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