まんまと罠に、ハマりまして
大声で怒鳴りつけられたり、罵倒されるわけではない。
嫌みを言われるわけでも、ない。

でも。
何だろう。
何とも言えない、あの凄み…。

淡々と、冷静に、だからなんだろうか。
あの怖さは…。

出来れば。
席を外していますように、なんて、願いつつ。
私はまた、大きく息を吐いて。
コピー室から、課長の元へと向かう。

その足取りは、もちろん、重いけど…。

そしてすぐ。
視界の片隅。
願いも虚しく、課長をみつける。

直視しないよう、足元に視線を落としているのに。
なぜか直ぐに、その姿をとらえてしまう。

コピーを持つ手が、妙に汗ばみ始めて。
全身に緊張が走る。
緊張という名の恐怖心。

いつか、慣れる日が来てくれるんだろうか…。

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