まんまと罠に、ハマりまして
「か、課長。コピー、出来ました」


あぁ。
やっぱり声が裏返ってしまう。
そんな私に顔を上げて。


「ありがとう」


課長がコピーを受け取る。

そう言えば。
課長は部下にも、ちゃんとお礼の言葉を口にする。

少なくとも。
部下を見下してはいないという事。

それに。
やっぱり、きれいな顔立ち。
多分、1日中眺めていても飽きないんだろう。

ただ…。
コピーをチェックするその目は、怖い意外の何物でもないけど…。


─どくん、どくん…


怖さと緊張で。
心臓の音が、ハンパない。

こんなに時間をかけたのに。
何度もチェックしたのに。
やっぱり、ダメ出しされてしまうはず。

あぁ、もう。
ダメならダメで、


─早くーーー!


思っていると。


─ドキッ


課長と視線が重なった。


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