まんまと罠に、ハマりまして
─コンコン


震える手でノックすると、


「!」


返事の代わりにドアが開いて。


「悪いな。入って」
「あ、はいっ」


やっぱり声が裏返ってしまった私に、


─えっ?


気のせい?
微かに、課長の口角が上がったような気がして。

でも。


「掛けて」


やはり気のせいだったらしい。


「は、はい…」


そう促した課長の表情は、いつも通りで。
考えてみれば、課長は私の裏返った返事なんて、聞き慣れてる。
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