まんまと罠に、ハマりまして
「失礼、します」


とりあえず、課長が先に座るのを確認してから、私も椅子に座る。

課長と向かい合わせ。

さすがに、まともに顔を見られるわけもなく。
私はデスクに目を落とす。
一体、何のお手伝いだろう、って。

でも。


─ん?


デスクの上には、書類どころか、PCすらもなく。
課長の手元にも。


─何も、ない?


「………………」


空のデスク。
向かい合わせの席。

もしかして、っていうか。
もしかしなくても、これって…。



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