まんまと罠に、ハマりまして
その時。


「…渡来」


課長の声。


「は、はいっ!」


いつも以上に、声が裏返ってしまう。

もちろん。
課長の顔なんて見られない。

静かな。
いつもと変わらないトーンで響く、課長の声。
その落ち着いた声で。
これから課長は、何を告げようとしているのか…。

もう早く。
一刻も早く、逃げ出したい、思ってしまう。

果たして。
課長の話を最後まで、聞き終えることが出来るのか。

それさえも危うい。


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