まんまと罠に、ハマりまして
でも。


「まだ。そんなに緊張するか?」


そんな私にかけられた言葉は、予想外のもので。


「…え?」


思わず、課長の顔に視線を移すと。


「!」


初めて見る顔。
仕事中には絶対に見せない。
苦笑を浮かべていて。


「俺はそんなに、怖い?」


口調も。
いつもとは違って、やわらかい。
心なしか。
メガネの奥から覗く、切れ長の目も。
優しく見える。

そのせいか。
不思議と、恐怖心が薄らいでいく。




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