まんまと罠に、ハマりまして
でも。


『もしもし、渡来…?』


予想通り…と言っていいんだろうか。
いや。
いいんだろう。


「っ…」


電話越し。
課長の声が聴こえた途端、私はフリーズ。


『?もしもし?』


自分からかけておいて、フリーズとか。
ほんと、


─あり得ないんだけど!


思ってはいても。


「っ…」


声が出てくれなくて。

私です。
渡来です、って。

その一言すら…。

あー。
ほんとに。
私は一体、どこまでダメダメなのか…。

その時。


『…また、緊張してるのか?』
「!」


フッと、微かに笑って、の、課長の言葉。
電話越し。
顔は見えないけど、その表情が鮮明に浮かんできて。


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