【完】こいつ、俺のだから。
と、油断したとき。
「いっ……!!」
靴の上から、グッと力をこめられた重みを感じる。
あまりの痛さに思わず顔を歪めてしまった。
「じゃあねー」
嫌味たっぷりの笑みで、その女たちは去って行く。
……クソ。思いっきり足踏まれた。
「ちょ、今のなに!?仁菜大丈夫!?」
一部始終を見てた光は、あり得ないとでも言うように見てきた。
「あー平気平気。ほっとけばいいよ。あんなの」
本気で対処してたら、こっちの身が持たないっての。
「いや、でもヤバイでしょあれ。佐野くんに言いなよ」
「言わないよ。この程度のことで」
あいつに弱味見せるとか、まじあり得ない。
ていうか言ったら言ったで、めっちゃ心配してきそう。
佐野に心配されると、正直すごく戸惑う。
なんでか、くすぐったい気持ちになるんだ。