【完】こいつ、俺のだから。
「…………」
トボトボとうつむきながら、重い足取りで保健室までの道を歩く。
なぜか気分は晴れない。
……たぶん、もしかしてあたし、ヘコんでる?
嘘。あんなリレーごときで……?
みんなの役に立てなかったから?
あり得ない。あたし、体育祭なんて好きじゃないのに。
こんなの絶対に違う。
「……体育祭なんて、クソくらえ」
モヤモヤする気持ちを捨てたくて、独り言をつぶやいた。
「……仁菜?」
そんなときに、さらにあたしに追い討ちをかけるように、前から人がやって来る。
「……!」
顔をあげて、その人を見つめてしまった。
嘘、なんで……。
なんでよりにもよって……?
「やっぱり、仁菜だった」
「…………戸田、先輩……」
それはまごうことなき、あたしの元カレである先輩だった。