【完】こいつ、俺のだから。
「やめてよ!痛いじゃんか!」
「痛かったら泣いていいぞ」
「……は?」
「泣いちまえ」
「…………」
なに言ってんだ、佐野。
とうとうバカになっちゃったの?
こんくらいであたし、泣くワケないじゃん。幼稚園児じゃあるまいし。
佐野はあたしのケガしてる足を見つめて、黙り込んでいる。
申し訳なさそうに、慈しむように、あたしの足ごときを、大切そうに見つめている。
そのまっすぐな瞳で。
「キレイな足してんのにな」
…………。
……はぁ!?
「な、ななななに言ってんの!?変態!」
「おー、男はそういう生きもんだ」
「開き直るなバカ!佐野にそんなこと言われたら寒気するわ!」
あたしが暴言を吐くと、佐野は突然あたしの腕を掴んだ。
そして足を見ていたその瞳は、しっかりとあたしを捉える。
まるで、逃がさないとでも言うように。