【完】こいつ、俺のだから。
「おいブス。2個目の言うこと聞け」
「え?……今?」
「おう、今だ」
急だなおい。
「今は勘弁してよ。さすがにあんたのワガママ聞いてあげれる気分じゃな……」
「今ある弱音、全部吐け」
それは、
命令口調であるけれど、
射るように鋭く発せられたけど、
驚くほど優しい声で、放たれた言葉だった。
「…………は?」
「心ん中にたまってるもん、全部俺にぶつけろ。あの戸田ってやつのことも言え。愚痴りまくって、そんで……」
掴まれてる腕から、佐野の温もりが伝わる。
あぁ、やっぱり……
「忘れちまえよ。あんなやつ」
やっぱりこいつは、あたしを惑わす天才だ。