【完】こいつ、俺のだから。
「なにそんな怒ってんの?」
「…………」
また、黙っちゃった。
不服そうに口をへの字に曲げる佐野は、不機嫌きまわりない。
だけどこの手を離すつもりは、全くもってないようだ。
力強く、掴まれてる手。
いったいこいつは、あたしをどこへ連れて行くつもりだ。
「お前、ちょっとおだてられたぐらいで、なにゴリラみたいに鼻の下伸ばしてんだよ」
「は?」
「ばっかじゃねぇの。見たい〜って言われたくらいで、調子にのってんじゃねぇよ」
待って。亀の次はゴリラか?佐野の頭の中は水族館、いや動物園か!?
「失礼だな。あたし別に鼻の下伸ばしてないし」
「着るなよ」
「あ?」
「メイド服なんて、絶対他のやつの前で着るなよ」