【完】こいつ、俺のだから。
「俺が電話してるときに、お前は空腹という我が欲求のためにドーナツ屋まで行ったのかよ!」
あ、やっぱり怒りますよね。
「ご、ごめん……」
「誰も謝れなんて言ってねぇっ!
お前が腹減ってるとき、俺がどんな気持ちでここら周辺を探し回ったと思ってんだ……!!」
「あの、ドーナツおごります」
「いらねぇよ!」
ピシャリ、強く言い切られた。
クソ。甘党の佐野くんは、ドーナツでもつれなかったか。
「やっと見つけたと思ったら、知らねぇヤツらに絡まれてるし、脚とか見られてるし……!やっぱスカートもっと長くしろ!」
やべぇ、説教タイムきたこれ。
「佐野さん、落ち着い……」
――ギュッ。
「俺がどんだけ不安になったか、お前はちっともわかってない」