【完】こいつ、俺のだから。
――スパッ。
「…………」
――スパッ。
「……な、中原」
「ん?どうしたの楢崎」
あたしがもとの配置に戻りスパスパとフルーツをカットしてると、楢崎が少々青ざめた顔をでまな板の上のフルーツを見つめていた。
「せ、せめて左手でフルーツ押さえようや?
なんか右手で包丁持って、左手宙ぶらりんだとこえーよ?」
「え?でも切れるよ?」
「うん、もう一度言うぞ?すげーこえーよ?」
2回も楢崎に言われ、しぶしぶあたしはフルーツに左手を添えた。
うわ、なにこれ切りにくそう。
「ちょっと待って。
なんで手のひら広げて押さえてんの?さよならバイバイする気!?
猫の手にしよ!いや、せめてグーでいいから!
お前自分の指切るつもりか!?」
楢崎は執事で接客が仕事なのに、わざわざあたしの隣に来て親切に包丁の使い方を教えてくれた。