【完】こいつ、俺のだから。
……まぁ、ふたりが言いたいことはわかってる。
ていうか、今朝のでバレバレだよね。
「……昨日、佐野と別れた」
「え?」
あたしの唐突な言葉に、光も楢崎も目を丸くする。
黙ってる理由もないので、ふたりには昨日の出来事を全て説明した。
「なに、それ……」
「……」
全てを話し終えると、光はあり得ないとでも言うように考え込む。
楢崎はもう、人質モードは終了してた。
「……嘘だったんだって。全部」
「え?」
「あたしのこと好きだって言葉も、今まで優しくしてくれたのも……全部。
ホントは偽物だったんだ……」
恋人ごっこは、所詮、ごっこに過ぎなかった。