【完】こいつ、俺のだから。
「……傷つくことから逃げるな中原」
楢崎の言葉にハッとする。
思わず顔をあげて、その顔を見つめた。
「傷つくことも傷つけることも恐れてたらどうやって人を好きになるんだよ。恋愛なんてそんなきれいなもんじゃねぇよ。
自分が誰かと付き合ったら絶対どこかで誰かが傷ついてる。それでもあいつ……佐野はお前のこと諦めなかった。
俺あいつ見てて思ったんだよ。
あぁ、だからこそみんな、恋も愛もきれいだって言うんだろうなって」
「……」
何を言ってるの、楢崎。
それじゃまるで佐野が……
「教えてやるよ中原。
佐野はずっと……中学の頃からお前のことを見てた」
「……!」
「そばで見守ってたんだよ!お前のこと笑顔にしてやりたかったんだ!」