【完】こいつ、俺のだから。
「笑ってるあいつが好きなんだよ!
意地っ張りで素直じゃねぇとこも好きなんだ!
そのくせすぐに照れるとこも好きで好きで仕方ねぇ!
たまに、自分ひとりでなんでもかんでも背負いこもうとするところが鼻につくけど、それも含めて俺はあいつを好きになっちまったんだ!
すっげぇ大事なんだよ!」
まるで、全身であたしのことを〝好き〟って言ってくれてるみたい。
胸がキューッと締め付けられるように苦しくて、体の内側から熱くなっていくのがわかった。
……もう、十分伝わったよ。
「だから、あいつのこと幸せにしねぇとテメェを許さないからな!!!」
……ホント、不器用なヤツ。
あたしはふぅっと一息つくと、持っているハリセンを振り上げ、佐野にめがけてビュンッと投げつけた。
命中率のいいそれは、スコーン!!と佐野の後頭部に直撃し、衝突した音がこの空間で響く。
素晴らしいほどのクリティカルヒットだ。
「いってえぇぇぇぇ!!
今俺に向かって物投げたのは誰だっ…………!?」
――ギュッ。
振り返った佐野の胸に飛び込み、その大きな体を抱きしめた。
「許さないのはお前だ佐野悠月!!」