【完】こいつ、俺のだから。
佐野は照れたように頭を掻き、盛大にため息をつく。
「じゃあ何?全部俺の早とちりってこと……?」
あたしはそうだと言わんばかりに、無言で佐野に蔑んだ目を向ける。
「あー、悪かったよ!だからそんな目すんな!」
「……」
「どうすればいいかわかんなかったんだよ。お前の気持ちはずっと、俺に向かないって思ってたから……」
史上最強に整った顔が弱ってると、あたしの心臓にとても悪い。
好きって気持ちが溢れてくる。
「嫌いになんて、なれるワケないじゃん……」
無理だよ。
もうあんたのこと、こんなに好きになっちまったんだこっちは。
「マジで、俺のこと好きなんだよな?」
佐野はまだ信じられないというような目で、あたしを見つめた。
何度言えばわかるんだろう、こいつは。