【完】こいつ、俺のだから。




「……仕方ないじゃん。

助けてくれて嬉しいって思ったのも、
俺じゃあダメ?って言われてイヤじゃないって思ったのも、

こんなあたしを笑わせてくれたのは、いつだって佐野だった」



この気持ちから逃げるのだけは絶対にイヤで、半ばヤケクソになってでも伝えてやった。



「勝手に人の心ん中グイグイ入ってきたクセに、途中で放棄するしさ……!」



なんで急に離れてくの。


嫌われたんじゃないかって、すごく怖かったんだから。




「先輩に何言われたのか知らないけど、

〝俺じゃ幸せにできない〟じゃなくて、
〝俺がなんとしてでも幸せにする〟くらい、傲慢な態度で飄々と言ってみなさいよ!

……あたしのこと笑わせるって言ったじゃん!
あんたの気持ちはその程度なの!?」



……なんて意地っ張りなんだろう、あたしは。



言ってることめちゃくちゃ。



こんなのはたから見たら、ただの自意識過剰女だ。



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