【完】こいつ、俺のだから。
「……?佐野?どうしたの?」
「…………」
ジーッと卵焼きを見つめてる。
穴があくほどって言葉がピッタリだ。
「佐野?」
……ん?
あたしはそこで気づいたことがあった。
佐野はどうやら卵焼きじゃなくて、はしをガン見してる。
「……お、おまっ!これ、か、かかか間接キス……とか……」
一応聞き取れたけど、カタコトすぎて意味わかんない。
そこらの外国人の方が日本語うまいんじゃない?と思ってしまった。
「もしかし佐野、潔癖?間接がいやなら、食べないで」
あたしは手のひらを見せて、〝返して〟としてみせた。
「いやじゃねぇ!食う!食うよ!」
だけどヤケクソになりながら、あたしにお弁当を返す素振りを見せない佐野は、勢い任せに卵焼きをパクッと食べた。