【完】こいつ、俺のだから。
あたしさ、佐野が突然話しかけてくれなくなったの、知ってたよ。
中学の頃から、いやってくらい意地悪してきたのに、ある日急に喋らなくなったよね。
あたしが先輩と付き合い始めた頃から。
佐野はもう、あたしとは話してくれないのかなって思ってた。
もう関わることもないと思ってた。
だけど、なんだ……。
あんたあたしのこと、ちょっとは気にしてくれてたんだね。
「ありがと、佐野」
「はぁ!?な、何がだよ!」
「ううん。なんでも」
意地っ張りな佐野に、思わず頬がゆるむ。