【完】こいつ、俺のだから。
それからは、すれ違えば戸田先輩はあたしに声をかけてくれて。
あたしも勇気を出してあいさつしたりしていた。
本当に好きで、片想いしてるときは、毎日がキラキラしてるように楽しかった。
あたしの初恋だった。
この高校だって、先輩がいるからって理由だけで受験した。
苦手な勉強を頑張って、合格してみせた。
ずっと追いかけて、追いかけて。
そしたらある日、戸田先輩が言ってくれたの。
『俺と付き合う?』って。
嬉しかった。幸せだった。
ただ一緒にいて、デートして、電話して。
毎日が楽しかった。
だけど終わるときは一瞬で。
こんなにもあっけないものなんだと、そのとき思ったんだ。
あたしは人を信じきれなくなって、恋愛はもういいやって思ったの。
あんまり笑えなくなってた。ちょっと無理して笑ってた。
……そのことに、少し疲れてた。