【完】こいつ、俺のだから。
『なんで教えてくれないの?誤魔化さないでよ、先輩』
……なんの話をしてるんだ?
俺は中原の弱々しい声に、胸が締め付けられるように痛くなった。
『……ごめんって、な?』
『いやっ!』
ガタンッ!と大きな音がして、俺はすぐにまた、息をひそめて中を覗いた。
『……なんでそこで拒むの。本当、意味わかんね』
どうやら戸田がキスしようとしたのを、中原が拒んだみたいだ。
さっきの音は、その拍子に机にぶつかった音だろう。
……つーか、お前ら最近うまくいってなかったのか?
『もういいや。そういうのめんどいし、別れよ』
戸田の方が、冷めた顔してそう言った。
まるで、中原を捨てるみたいに。