【完】こいつ、俺のだから。
……嘘、だろ?
『…………』
中原はこちらに背を向けてるから、どんな表情をしてるのかわからない。
だけど絶対、笑ってない。
『じゃあね』
最後にそう言った戸田は、かも当然のようにそのまま俺のいるドアの方へと歩いてきた。
ドアはゆっくりと開き、戸田は俺を見るなり一瞬驚いた顔をする。
だけどすぐになにも言わず、横を通り過ぎていった。
憎たらしいくらい、余裕の笑みだけを残して。
……そして、教室には中原だけが残された。
正直、今ここで中に入ることは無理だ。
今まで距離をとってたぶん、めっちゃ気まずい。
それに俺が入ったところで、なんもできないだろう。
慰めてやることすらも。
……俺は、中原にとって口げんかの相手でしかないから。