タッチで恋愛!魔法大会トリスト
「…容赦ねーな、シーは。練習試合なのによ。」
手が巨大化し、翔が放った火の球を二つとも弾き返した。そして、翔に命中させた。
「まぁ、今のはほんのウォーミングアップにゃ。」
今のが、ウォーミングアップだなんて…。
正直、私は全く動けずにいた。魔力が無いから、というのもあるが、それ以上に、怖かった。私が出ようとしている大会は、こんなのが休む暇なく繰り広げられる。それが…怖かった。
その時だった。
視界がグルグルと回りだした。まともに立っていられない。後ろの壁に寄り掛かった。
「おい、結乃!大丈夫か!?」
翔が私の方に駆け寄る。
「大丈夫…多分、ただのめまいだから…。」
そうではない、と分かっていた。だけど、翔を心配させたくない…。
「それなら、僕の回復魔法で…。」
先輩が私に魔法をかける。だが、焼け石に水だった。
「追いつかない…。」
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