あなたまでの距離
車に戻り、エンジンを掛けて暖房を全開にする。


吹き出し口に手を当てて、冷え切った手を温める。


「寒かったですね。」

「そうだね。」

と、言いながら、高木さんは私の左手を取り、指を絡ませてくる。


そして、私の手の甲にそっと、口づける。


手の甲にあたる吐息に、さっきまでの甘いキスの熱を思い出し、一気に顔が熱くなる。


視線が絡み合い、彼の方へ身体を引き寄せられる。


そして、また、深く深くキスをした。









私達の恋は、こうして、始まった。



彼の家族の事を、置き去りにして。













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