あなたまでの距離
キスの合間に、そっと目を開けると、高木さんも目を開けてた。


いつもの目とは、ちょっと違う。
欲情してる目。


形の整った二重の瞳が、何とも言えないセクシーさを醸し出してた。



もう、心臓が壊れそうで、私はまた目を閉じた。


キスをしながら、自然と彼の手が、コートの上から私の胸に触れる。


思わず、身体がビクッとなった。


私の反応で、彼がふっと笑い、口唇を離した。



「だめー。俺、調子乗りすぎ…」


また、私をぎゅっと抱き締める。


「ふふふ。だねー。」

彼の背中に手を回して、一緒に笑う。



不意に時計を見ると、もう、日付が変わっていた。


「…そろそろ、帰りますか?」

言いたくはないけど、こんなセリフ。

いや、言わなきゃいけない。



「…だね。」



彼もポツリと呟いた。


< 14 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop