あなたまでの距離
クリスマスや、お正月も過ぎた、ある冬の夜。
お風呂も済ませ、のんびりしている時に、メールが入った。
高木さんから。着信音を、専用に設定しているから、携帯を確認しなくてもすぐに分かる。
もう重症だ。
この頃には、すっかり自分に言い聞かせるのをやめて、彼を好きな気持ちを認め、ただひたすら気持ちを表に出さないように気を付けていた。
年明けすぐに、彼氏とも別れた。
唯一、この気持ちを吐露した親友からは
『キープしておけば良かったのに』と、とんでもないアドバイスをいただいたけど、丁重にお断りした。
『今、沙耶んちの近くで飲んでるよー。何してる?』
すかさず返信
『家でまったりしてますよー』
五分も経たないうちに、またメール。
『今から、逢えないかな?って、ワガママだね。ごめん。』
ドキンと心臓が高鳴った。
彼も逢いたいって思ってくれている。
期待しちゃダメだけど、どうしても、僅かな可能性を期待してしまう。
一瞬、躊躇ったけど、気付くと送信ボタンを押していた。
『迷惑なんかじゃないですよー。逢えますよ』
そこから、慌てて髪の毛を乾かして、軽くメイクをして、着替えた。
高木さんが飲んでいた場所は、私の家から5分くらいの所だった。
待ち合わせ場所まで、急いで車を走らせた。