あなたまでの距離

クリスマスや、お正月も過ぎた、ある冬の夜。



お風呂も済ませ、のんびりしている時に、メールが入った。

高木さんから。着信音を、専用に設定しているから、携帯を確認しなくてもすぐに分かる。
もう重症だ。


この頃には、すっかり自分に言い聞かせるのをやめて、彼を好きな気持ちを認め、ただひたすら気持ちを表に出さないように気を付けていた。

年明けすぐに、彼氏とも別れた。


唯一、この気持ちを吐露した親友からは
『キープしておけば良かったのに』と、とんでもないアドバイスをいただいたけど、丁重にお断りした。






『今、沙耶んちの近くで飲んでるよー。何してる?』


すかさず返信

『家でまったりしてますよー』



五分も経たないうちに、またメール。



『今から、逢えないかな?って、ワガママだね。ごめん。』



ドキンと心臓が高鳴った。



彼も逢いたいって思ってくれている。

期待しちゃダメだけど、どうしても、僅かな可能性を期待してしまう。


一瞬、躊躇ったけど、気付くと送信ボタンを押していた。

『迷惑なんかじゃないですよー。逢えますよ』




そこから、慌てて髪の毛を乾かして、軽くメイクをして、着替えた。




高木さんが飲んでいた場所は、私の家から5分くらいの所だった。




待ち合わせ場所まで、急いで車を走らせた。




< 9 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop