あなたまでの距離
冬の寒空の下、高木さんは待ち合わせ場所で待っていた。


「こんばんはー!乗ってください」



窓を開けて彼に促した。


「さっむい!!こんばんはー」

ドアを開けながら、助手席に乗り込んできた。

エアコンをガンガンに効かせてて良かった。

「どこ行きますか?」

適当に車を走らせながら、隣に座る高木さんに尋ねる。

「ん?沙耶、お風呂入ったの?」

「会話噛み合ってないしー!」

可笑しくて、一旦停止の所でチラッと高木さんを見ると、凄く優しい笑顔で私を見つめてた。


一気に心拍数が跳ね上がり、それを誤魔化す為に、煙草に火を付ける。


そんな私の動揺を更に煽るように、彼の右手は、私の髪に触れてきた。

「…いい匂いがするよ。」

更にドキドキする台詞を言われ、顔が火照る。
でも、必死に平静を装う。


「気にせずに、高木さんも煙草どうぞ!
で、どこ行きますか?」



「うーん。じゃあ、俺のお気に入りスポット!」



それから、彼の道案内で小さな山の展望台に行った。



うちから比較的近い所に、こんな所があったんだなぁ…

車から降りて、展望台の屋上に登る時、自然に彼の指が私の指に絡んできた。



ドキドキしすぎて、沢山話しながら照れ隠しをした。



展望台の上に着くと、パノラマの夜景が広がっていた。



「うっわぁ!綺麗!!」


思わず声を上げた。



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