ヘタレ王子と子猫
「美麗せんぱ〜い。ちょっと休憩入れましょうよ〜」
「ああ、そうだな。昼だしだいぶ熱くなってきたな〜。よし、10分休憩!」
この時期だからこまめに休憩いれないとな
「みれい〜」
「なに愛花」
私たちはスポーツドリンクを飲みながら木陰で休憩をとっていた
そしてこいつは愛花(マナカ)
中学から一緒に陸上をやっていた
親友。良きライバル。
「あんたまたこんな色気のない下着して。白いTシャツだから少し見えるのよ。なんでこの色なわけ〜?」
「うるせぇなあ。乳隠せればなーんでもいんだよ」
「美麗可愛いのになんでそんなもったいないことするかなあ。あとその汚い言葉遣いもやめなさいっ。」
「しょーがねんだよ。男しかいない家なんだから同じ扱いなんですわよ」
この男みたいな口調は
兄貴達や親父と生活していくうえでこうなってしまったのだ
母親は小さい時に亡くなり
親父は一人で男二人、そして私を育ててきた
亡くなった母親は走るのが得意なわたしをいつも褒めてくれた
それが嬉しくてもっともっと速くなろうって沢山練習してきた
きっと今でも天国でみているであろう
だから私はしょっちゅう空を見る
父子家庭なのに
こうして陸上も続けられて
なに不自由なく暮らしてる
親父にもいつかトロフィーを持たせて上げるんだ