ヘタレ王子と子猫
「うっそ…雨。あんな天気よかったのに。通り雨かな」
ハードな練習を終え校舎を出るところだった
他の部員は一足先に帰ってしまい
私はゆっくりストレッチをしながら翌日の練習メニューを考えていた
「傘もってきてないよ」
一人言で文句を言いながらも
バックで頭を濡らさないように走った
「結構降ってきた!明日グラウンド大丈夫かな」
雨は次第に強くなり結構視界も悪い
「やばー」
一人言が雨で打ち消される
『…にゃ…ぁに…』
「ん?」
『にゃーにゃー』
「…」
捨て猫…?
ダンボールに雨よけも無しにバスタオル一枚と「拾ってください」の文字
雨に濡れて寒さに震えた子猫だ
猫…
しかも子猫…
か…
可愛い…!!!!!
子猫は助けを求めているかの様ににゃあにゃあと私の手にすり寄ってきた
「かわいー…。でもごめんなあ…。うちには連れていけないんだ…」
うちはアパートだし、猫を飼ってる余裕もないし…
「頑張って生きなよ」
私は雨の当たらないところにダンボールを移動させ、練習で使っているスポーツタオルに子猫をくるませてあげた
これで少しはましになるだろう