リトライ。
「残念ながら今日は外練、女バスもな。だから体育館にはいねぇよ?」
「べ、別に私は気になってたわけじゃ……」
「じゃあなんでわざわざ帰宅コースとは反対側の体育館を見てたの?」
「……っ」
また見られてたらしい。
いつまでも、しつこく聞いてくる彼にイライラが募り、私は少し声を荒げて言った。
「そんなのキミに言う必要ないでしょ!」
しかし、彼は私の言葉にひるむことなく言ってくる。
「キミじゃない。名前教えたろ?陽介だよ」
「よ、陽介には関係ないよ!」
彼のペースに飲まれ、完全に勢いが落ちた私。
だけど負けじと睨み付けていたら、陽介は勝ち誇ったように笑った。
「ふっ、やっぱりウソつきだ」
「ウソなんてついてないもん!」
彼が勝手に私の言葉をウソにしてるだけだ。
じっと睨みあっていると、彼は意味ありげにつぶやいた。
「知ってるんだからな……」
。