リトライ。




練習のし過ぎにより、足に負荷がかかってしまっている状態だった。

このまま続ければますますひどくなる痛みと戦うことになる。



怪我としては軽かったものの、私は二ヶ月間、休養を言い渡されることとなった。


大事な試合が1ヶ月後にあったけど、それに出ることは出来ない。


それでも、休めば元どおりにやれるんだ。

良かったと思わなくちゃ。


私はその日から、みんなが練習する中、

コートの隅で腕だけを使って行なうハンドリングをやっていた。


ハンドリングは基礎になる。

復帰した時にシュートフォームを崩さないように。

足は休めて、基礎となることは全てやり続けた。



そして2カ月後――。


ようやく復帰できるようになった頃。


『繭、スタートで』

『はい』


私の居場所はなかった。

試合でも練習試合でも再びベンチで応援するだけの毎日が続く。




< 71 / 266 >

この作品をシェア

pagetop