メガネの私は好きですか?
こちらに歩いてくる上履きの音、特長のある甘めの声。
「……あ、有馬」
動けない私の視界に入ったのは、どこか冷めた表情をした有馬だった。
「飯田さんに会いに来たんだけど、何。 キミさっき言ってたこと詳しく話してよ。」
そう言って、藍に目を向けた。
「だから、そのまんま。絵美がお前に告ったのはただの罰ゲーム。お前の事なんか好きじゃねえんだよ!」
吐き捨てるように藍が言葉を強める。
そんな藍を見て、有馬は今度は私に目を向けた。
「……本当なの?」
私に、言葉を求める有馬の瞳は少し沈んで見えて、私は思わず顔を逸らす。
「……っ。」
答えられるわけがない。
どれも、嘘ではないんだから。