メガネの私は好きですか?
 





……ドクン。


心臓が嫌な音を立てて、手にも冷たい汗を感じる。

嫌だ、有馬が行ってしまう!



そう思った私はとっさに追いかけようとしたが、グッと後ろ手を掴まれる。



「行かないで、絵美。」


振り向けば、藍の悲痛な顔。


昔からよく知る藍の手も今は温かさを感じられず、ひんやりと冷たい。


こんな状態の藍を置いていくのは、忍びないけれど、



「ごめんね…藍。だけど、私は有馬を追いかけたい。きっかけは最低だけど、私のこの気持ちは本心だと思うから。」


「絵美……」


「有馬が好きなの。」



私の口から出た言葉に、藍は目を見開き、そしてポツリと呟いた。



< 30 / 36 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop