【続】三十路で初恋、仕切り直します。

「たしかに相性はいいんだろうし、脱がせてみたら案外色っぽいもの着けててそそられたけど、そういうモンだけでここまで俺が振舞わされるわけないだろ」
「じゃあなんで……っいったっ」

法資の指にきゅっときつく鼻を押されて悲鳴をあげると、法資は少しだけ苛立ったように言ってきた。


「『どこが』とか『なんで』だとか訊かれたって、理屈じゃないからさすがにおまえが納得いくようには説明してやれない」

それからすこし逡巡した後で、「けどガキの頃の直感は正しかったんだろうな」と言う。言葉の意味を捉え損ねてどういう意味だと考え込んでいると、法資に「おまえ何度言わせる気だよ。いい加減理解しろよ」と怒られる。


「おまえときどき日本語通じてるのか心配になるな。こっちは前から好きだって言ってるのになんでそういつもひと疑ってるっていうか自信なさそうなんだよ」
「ごめんなさい。気をつけるけど。でも」


わかりやすい言葉でもういちど法資の気持ちをおしえて欲しいと小声でお願いすると、法資は不承不承のすこし悔しそうな顔で言った。


「非常に不本意だけど俺の初恋はおまえだ」
「……うん?」
「ガキの直感も馬鹿に出来たもんじゃないってことだ。今は他の誰でもなく、おまえに惚れたのは正解だったって思ってる」
「正解?」


泰菜が訊き返すと、法資にしては珍しく少し照れたように視線を反らしながら、でもはっきりと言った。


「つまり俺は今隣にいるのがおまえで幸せだってことだ」




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