【続】三十路で初恋、仕切り直します。


どうして子供のとき、ずっとそばにいて当然で、この先もずっとそばにいると信じて疑わなかった相手を、遠ざけるような真似をしてしまったのだろう。


大人になれば、子供のときのようにはいかない。「ごめん」を言えば昨日と変わらない距離でまたすぐ笑い合うことが出来るなんて、そんなことはありえない。

遠く離れて壊れてしまったものは、簡単には修復できない。




----------やっぱり風邪っぴきはろくでもない。




今更どうすることも出来ない苦い記憶だけが鮮明になり、自分が今どうしようもなく一人であることを痛烈に思い知らされる。



腕に閉じ込めた泰菜でさえ、自分を置いて去っていこうとする。



「……おまえな、夢の中でくらい傍にいろよ……」



呻くように呟くと、混濁する意識が再び深く深く沈んでいこうとする。泥のように重たい意識をこのまま手放そうとすると、頬を何度か叩かれ、強引にそれを止められた。



「法資。法資?……ちょっとしっかりして!」



体を揺さぶられて、沈みかけていた意識が無理やり高いところへと引っ張りあげられていく。



「大丈夫なの、ねえ法資ってば!!」



頬をぺちぺち叩かれて、そこでようやくスイッチを切り替えたように、すでに開いていたと思っていた目がきちんと開いてはっきりした焦点を結んだ。



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