【続】三十路で初恋、仕切り直します。
やさしいクリーム色の天井。
前に一人で住んでいた部屋と違って、西日の差し込む明るい寝室。ベッドも以前ひとりで使っていたものより寝心地のいい大きなものに変わっている。
………たとえ短時間でも質のいい睡眠を取れた方がいいと言って、泰菜は他のどの家具よりもベッドにお金をかけることにこだわった。
唯一の嫁入り道具だからといって、有名な寝具メーカーのこのベッドを買ったのは泰菜だった。
それまでベッドなんて眠れさえすればいいと思っていたのに、寝心地の良さと目覚めたときの疲れの取れ具合にひどく驚かされた。
超過労働が当たり前と言う職場にいる自分の体調を気遣っての選択だったのだと、泰菜に言われるまでもなく気付かされた。
その夫思いの女が、夕暮れの中自分を見下ろして笑っていた。
「法資、子供のときから変わらないのね。風邪を引くとうなされやすいの」