【続】三十路で初恋、仕切り直します。


『なんでこんなところに泰菜がいるんだ』という疑問と、『泰菜は3ヵ月も前に入籍して自分の妻になったじゃないか』と認識する意識とがどろどろに混ざり合う。


過去のことが意識の深いところにゆっくりと沈殿していき、混濁していた意識の表層が徐々に澄んでいく。混乱していた頭がひと呼吸するごとにクリアになっていくと、ようやく今自分を取り巻く状況を思い出した。





週末から風邪を押して仕事をしていたら高熱が下がらなくなり、室長の鈴木に『要休養』を言い渡され、午前中に職場から追い返されていた。

それで今日、泰菜に甲斐甲斐しく世話をされながら自宅の寝室で休んでいたのだ。






-------------久々にひどく無様な夢を見たな。





笑おうとして、でも上手く笑えない。

夢の中の孤独や絶望感は、まるでそれが現実であるかのような生々しさだった。あまりにも後味が悪く胸の悪くなるその不快感は、今も肌にべったりと貼り付いている。



「法資、目は覚めた?」

泰菜が黙り込んでいる自分の顔を覗いてくる。

「………大丈夫?」

何度でも泰菜は自分に呼びかけてくれる。その声とまなざしに触れていると、不快で重い体は軽くなっていくようだった。




--------------大丈夫、こっちが現実だ。



それをすこしでもはっきりと実感したくて、ベッドの上で上半身を起こし目の前にある泰菜の腰元に抱きついた。



「……ねえ、さっきからどうしたの?まだ寝ぼけてるの?」



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