ラベンダーと星空の約束+α
「亀さん、たく丸さん、ご無沙汰してました。
あの節は随分と迷惑かけたのに、挨拶にも行かず、すみませんでした。
紫から聞きました。
俺がいない間の、彼女を支えてくれてありが…」
「大ちゃん、昔話しは後にした方が…瑞希が…」
そうだよ!たく丸君の言う通りだよ!
昔話している場合じゃないんだよ!
嬉しそうに亀さんに抱き着く紫ちゃんと、
懐かしい二人に、丁寧な挨拶なんか始めちゃった大ちゃんに、
僕のイライラは頂点に達し、ついに爆発した。
「コラー!!!
懐かしがってる場合じゃない!!
大ちゃん、今謝らないで後で謝って!
時間ないんだよ馬鹿!!
僕、15時までに紫ちゃんと大ちゃんの、2人分作り上げなきゃいけないのに、40分しかないじゃん!
もうバカ、2人共バカ、しかも汗臭い。
早くシャワー浴びてきて!!」
僕に怒られ、慌ててシャワーを浴びに出て行く2人。
「5分で上がって来てよ!」
と、その後ろ姿に声を張り上げた。
全くもう〜
僕に迷惑掛けるのは、2人の特技だよね。
この2人に関わると、僕って本当苦労するよ……
◇
シャワーを浴びて出て来た2人を、僕のスーパーテクニックで、25分で花嫁&花婿に作り上げた。
僕って凄い!
自分の才能に惚れ込んじゃうよねー!
「紫ちゃん、超綺麗!
さっきまで汗だくで、髪振り乱して働いていた子と、同一人物に見えないよ!」
「そうだね…うん、私も驚いてる…こんな自分見たことない…」
紫ちゃんは鏡に映る自分の姿に驚き、正面、横、後ろと向きを変え、ドレス姿を嬉しそうに見ていた。
やっと花嫁の自覚が出て来たのかな。
かなり遅いけどね。
そんな彼女を、少し離れた所で、放心して見ている大ちゃん。
大ちゃんも着替えと髪のセットを終え、その白燕尾(エンビ)服姿は、どこかの国の王子様みたいだ。
「大ちゃんどう?
ウエディングドレスの紫ちゃんを見た感想は?」
「………」
うん、言葉が出ないよね。
一応聞いてみたけど、そんな反応すると、分かってた。