ラベンダーと星空の約束+α
 


「紫龍君ズルイ!私も参加していい?いいよね?」


「ちょっと留美、一年のくせに生意気。

紫龍君はみんなの物って校則知らないの?

私物化禁止だから」




悪い予想は当たってしまった。


留美の口を塞ぐのが一歩遅かった。


駆け寄って来て騒ぎ出す女子達に溜息を付く。



「ねぇ!」

「紫龍君!」

「いいよね?」



机をバンと叩かれた。

右から左から、後ろからも女子達に詰め寄られ、

ついこう言ってしまった。



「あのさ…参加を決める権限は俺にはないから…

大勢で押しかけられるとさ、ほら、スペース的な問題と料理の問題があるだろ?

料理作るの俺じゃねぇし、権限は母さんが握って…」



「じゃあ紫龍君のお母さんに聞いてみるね!
みんな、電話しに行こう!」



「………」




――――…


母さんは参加希望者の誰一人として断らなかった。


「今年は賑やかになるね!よし、料理頑張るぞー!」

とやけに張り切って…



そうして今の状態がある。



ソファーに座る俺の右腕に留美がへばり付き、

「紫龍君、うちのベスがね?」

と興味の湧かない飼い犬の話しをしてくる。



一方、左腕にしがみ付くクラスの女子は、全く面白くない昨夜の夢の話しを笑顔で喋っていた。



どこかでタイマーがピピピと鳴る。


すると仕切屋の女子が…



「はい、時間だよ。紫龍君の隣の席は5分交代。守ってよね」


と指示を出し……



女子20人に囲まれて…俺、何やってんだろ…


マジで勘弁して欲しい…



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