ラベンダーと星空の約束+α
 


母さんがポケットから出したそれを、誰かに見られない内にと引ったくる様に手にした。



コソコソと画像を確認すると……



確かにヌードだ。それもオールヌード。

男のシンボルまで丸見えだ。



だが…

「なんだ」と呟き写真をヒラヒラと手で弄んだ。



それは赤ん坊の頃の写真だった。

風呂上がりにバスタオルの上で転がっているのを写した写真。



ヌードなんて紛らわしい言い方をするなよ。

騙されたな…



無害な物だと確認出来たから、その写真は母さんに返した。



「あれ?要らないの?」



「ん。赤ん坊の頃の裸なんて別に恥ずかしくない。好きにして」



「ふーん、じゃあコレどうしよっかなー。

折角プリントして持って来たし…」




母さんが意味ありげな目線を俺に向ける。


それから女子の集団を見て「フフフフ」と笑いながら大声で呼び掛けた。



「みんなー!

紫龍がねー、ヌード写真好きにしていいと言うから、二回戦行ってみる?

因みに赤ちゃんの頃のヌードだけど、コレ欲しい人この指止〜まれ!」



「か、母さん!待った…」




待ってはくれなかった。


女子達は歓声を上げてこっちに向かって来る。


無害だと安心しきっていたが…

なんだこの騒ぎは?



赤ん坊のヌードだと暴露されても欲しいと思うのか?

何故?



キャーキャー言う声を聞いている内に、無害と判断した写真が、有害である様に思えて来た。



例えるなら、

民意に押されて政策を急に変える政治家…

今そんな気分。



そうして再びヌード写真を掛けての椅子取りゲームが始まった。



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