ラベンダーと星空の約束+α
「もー爽やかに“久しぶり”とか言わないでよ!
あれから4年だよ?
ツインテールはとっくに卒業!
長い間帰って来ないから、浦島太郎状態になるんじゃん!」
「そうだよな…瑞希ごめん…」
「ゴメンじゃ済まされない!
帰って来るの遅いよ!!
過ぎた時間は取り戻せないんだ。
勿体ないじゃん。
あの時何で、教えてくれなかったんだよ……
命の期限…紫ちゃんに言い出せないのは分かるけど、僕には打ち明けて欲しかった…
あの時、大ちゃんの中の僕の存在って、何なのさと思ったら、泣けてきて…
うっ…ひど…酷いよ〜うわ〜〜ん!!」
「わっ、ごめん瑞希!
本当、反省してるから泣かないで!
取り合えず座って、通路に立ったままだと、目立つからさ…」
苦情は控え目に、楽しい再会にしようと思っていたけど、大ちゃんの顔をみたら泣けてきた。
二人掛けのテーブル席の前で、突っ立ったまま泣き出す僕に、大ちゃんは慌てている。
店内は若い女性客で8割方埋まっていた。
テーブル席の客も、カウンター席の客も、振り向き僕らを注目していた。
近くのテーブルの、会社帰りOL2人組みの会話が聞こえてきた。
「修羅場?
あんな美人でも、フラれるんだ」
「確かに美人だけどさぁ、男の顔見たら納得しない?
そこからだと見えない?
こっちおいで……ね?」
「ヤバ…超激カッコイイ…
あれじゃ、女なんて幾らでも寄ってくるから、可愛い子でも飽きたら即ポイだね」
「だよね〜」
「ちょっと!そこの2人!
失礼な事言わないでよ!僕はフラれてないから!!」
斜め横のテーブル席の女に言い返していると、大ちゃんに強引に座らされた。
「ごめん瑞希、頼むから他の客と喧嘩は止めて。
瑞希には本当に迷惑かけたと思う。
泣いて苦情を言いたい気持ちも、分かっているから。
けど…迷惑だと分かっていても、頼れる相手がお前しか居なかったんだ。
瑞希は大切な親友だよ。
だからさ…東京にいる間の紫を頼める人物は、瑞希以外に浮かばなかった。
瑞希しかいないと思った。
ありがとう。彼女を支えるのは大変だったろう?
ありがとう瑞希、お前がいてくれて良かった…」