ラベンダーと星空の約束+α
紫に礼なんて言われたのは、いつ以来か…
流星に対しては、素直で可愛げを見せていたこいつだが、
俺に対し「ありがとう」なんて言葉は…貴重だ。
言われ慣れねぇその言葉に、思わずたじろいでしまう。
おまけに…
「はい、夜食にお握り作っておいたよ。
お腹空く頃だと思って。
中身は大樹の好きなエビマヨだからね」
そう言って、ラップに包んだ温かい握り飯二つを、俺の手に乗せてくれた。
「………」
「何?私の顔に何かついてる?」
「いや…」
「大樹?顔が赤いよ?
あ…耳も赤い。何恥ずかしがってるの?」
「…違ぇ…激チャリしたから暑いだけだ…
こっち見んな。お前は本を読め」
「今は読まないよ。DVDの続きが気になるから。
本は後で、ゆっくり時間をかけて読みたい」
「あ゙?そんなら今取りに行く必要無かっただろ」
「あるよ。
この本に触れて確かめたかったの…流星の温もりを……」
紫はタイトルの文字をなぞっていた。
嬉しそうな面して…
流星に逢えたかの様な目をして…
付け足されていた『紫へ贈る』の紫色の文字に、あいつの温もりを探していた。
まぁ、そんな嬉しそうな顔してくれんなら、真夜中の激チャリ往復も無駄じゃねぇか…
珍しい言葉が聞けて、温けぇ夜食も付いてきたしな……
「元の本より厚みがあるよね…ちょっとだけ…」
後で読むと言っていた紫だが、うずうずした顔して本を開いた。
読むと言うより流している感じでパラパラとページを送り、
顔にかかる微かな風さえも愛おしそうに、目を細めている。
ページを流し最後の方まで来た時、紫は「あれ?」と言って手を止めた。
その声で握り飯を頬張りながら、俺も紫の手元を覗き込む。
「後半…白紙だ…」