僕と君の365日

今思えば12cmも延びるかって半信半疑だけど。


「礼!」


「ありがとうごましたーっ!」


急いで頭を下げてなんとか間に合う。気がついたら終わってた。

俺は急いでつぼみのところへ向かう。


「遅いー!」


「ごめん。」

「アハハッ!嘘だよ。」

そう言ってつぼみが笑うから俺もつられて笑う。


「あ、今日ね、外部コーチの人が来てくれて!トランペットのソロに選ばれたんだ!」


いいな。つぼみ。夢があってその夢を追うために頑張れる。

俺には目標もないから。頑張れない。身長も低いし。

「いいよな。つぼみは。」

「何言ってるの!はるだって地区予選でしょー?勝つって目標あるじゃん!とりあえず1cmおっきくなろ。」


「....あぁ。」

「はる、もっと大きくなりなよー。」


いつも言われてる一言が今日は妙に尺さわった。


「つぼみはいいじゃねぇか。170もあってさ。俺に10cmぐらい分けてくれよ。お前は延びたくなくても延びるかもしれねぇけどさ。俺は延びたくても延びねぇんだよ!」


「.....ごめんね。はる。先、帰るね。」


やってしまった。ただの八つ当たりだ。

「つぼみ、待て!」


「今日は別々に帰ろ?はる、身長のこと気にしてるのに言っちゃったから......ね?だから悪いのは全部私だし!!」

つぼみは走り出す。







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