ヒット・パレード
「ヨーコさん、この人一体誰なんですか?」
「え~っと、この人はですね………」
陽子がZipのメンバーに森脇の事を紹介しようとした、その時だった。
「あああーーーーーーっ!」
ギターの祐哉が森脇を指差し、突拍子も無い大声を上げた。その大声にびっくりして、メンバー全員の目が祐哉に集まる。
「なんだよ、祐哉!お前いきなり!」
「俺、今気がついた!この人、トリケラトプスの森脇さんだよ!」
「なに!それ本当か、祐哉!」
祐哉の言葉に、ボーカルの涼、そしてベースの健太とドラムの大樹が目を見開いて、互いの顔を合わせる。その視線は陽子の方へと移り、本当にそうなの?という無言の問いかけに変わった。
陽子がそれに答えるように、首を縦に動かす。
「うおおおおーーーーーーっ!すげえええーーーーーーーっ!」
知らない人間が見たら、この四人は宝くじにでも当たったのではないかと思う程の興奮ぶりである。一人、この騒ぎについていけないキーボードの麻衣は、困惑の表情で涼にその理由を尋ねる。
「ねぇ、なになに?トリケラトプスって何なの?」
「バカ!麻衣、お前トリケラトプス知らねぇのかよ!トリケラトプスって言ったら神だよ!神!俺が日本で一番スゲエと思ってるバンド!」
「えっ、そうなの?」
「そうだよっ!ガチでスゲーーぜっ!」
そんなZipのメンバーを、森脇は呆れ顔で眺めていた。
ガチとか神とか………俺はいつから神になったんだ?お前ら、いったい何教の信者だよ………
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