ホルケウ~暗く甘い秘密~
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ホームルームの終わりを告げる、山崎の爽やかな声が響いた。

今日は全校生徒の総下校が決まっているため、掃除はない。

まっすぐ遊びに行く生徒の群れの中に、りこは珍しく混ざっていた。

待ち合わせは、町で唯一のゲームセンターの入口前だ。

足取りも軽く階段を降りていたりこだが、突然背後から声をかけられた。


「あ、りこちゃん発見!」


(この呼び方は……)


楽しい気分が萎んでいく。
振り返ればやはり、森下右京がいた。

おまけに今日は、石田隼人もついてきている。


「今日すっごいオシャレしてんじゃん。俺の誘い断ったのって、まさかデート!?」


相変わらずグイグイ来る森下に内心辟易しながら、りこは簡潔に答えた。


「幼なじみと遊ぶ予定なの。じゃあ」

「幼なじみって誰?」

「(今、じゃあって言ったのに……)M高の、日高美佳。じゃ、私急いでるから」


軽く会釈して、階段を駆けていくりこを、森下はつまらなそうに見ていた。


「あいつ、友達いるんだー。意外」

「右京、学校で本音出すな」

「はいはい。隼人、俺もうあの子に飽きてきちゃった。どんだけ女子から疎まれても平気な顔してるし」

「じゃあ俺が貰うぞ。まなは入院してるし、新しいセフレが欲しかったところなんだよね」


ニヤニヤと笑う隼人から、右京はわざとらしく離れた。


「うっわ、今絶対春山の体想像しただろ」

「お前は考えたことないのかよ。制服の上からでもわかるくらい、イイ体してるだろ?あの子」

「あれ絶対処女だろ。俺はそこそこ経験ある女にしか興味ないから」


その体に興味がないとは言わなかった右京に、隼人はこう持ち掛けた。


「じゃあさ、俺があの子の体を開発し終わったらたまに貸してやろうか?」


しばらく考え込んでから、右京は冷たく微笑んだ。


「いいね、それ」


二人の男の身勝手な計画は、教室を出ていく生徒の喧騒に紛れていた。

いつもより声を潜めていたため、誰も自分たちの会話など聞いていないと過信していた二人だが、一人だけ二人の会話を最初から最後まで聞いていた人物がいた。
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